[委員会]令和7年9月定例議会「経済労働委員会」
奈良公園事務所の業務について
【藤野】
本年6月26日に、奈良市の観光入り込み客数の調査が公表されました。宿泊客数が過去15年で最高値。また、昨年、奈良市を訪れた観光客数は1,487万人となり、前年から21.9%増加。平城遷都1300年祭が実施された2010年、195.6万人を上回る結果となり、そのうち外国人訪問客数は297.7万人、前年から61.4%増加。また、外国人の宿泊者数は44.5万人となり、過去最多となったということです。
この奈良市に訪れた方はほとんどが奈良公園に行っておられると推察をいたします。この奈良公園も最近は公園内の鹿について何かと話題になっておりますが、そのほかの様々な課題も浮き彫りになっているかと思います。例えばトイレの環境が非常に乱れているとか、あるいは出入り禁止の区域に人が侵入しているとか、そういったことも私の耳に届いております。様々な課題が生じてはきておりますが、今、奈良公園事務所で把握されておられます具体的な課題、あるいはその対応、対策をどのようにされておられるのか、お聞きをいたします。
【奈良公園室長】
委員お述べのとおり、奈良公園内で新たな課題が出ております。特に鹿に関わるものや入ってはいけないところでは、春日山原始林に入ってくるという例もあります。そういったものにつきましては、奈良公園事務所に在籍しております保安員が日々、監視ということで、園内を巡回しております。
【藤野】
今、奈良公園事務所の職員、保安員のお話も少し出ましたが、奈良公園事務所の業務っというのは非常に多忙を極めている状況というふうにお聞きをいたしております。先ほども申し上げましたように、新たな課題も生じてきておりますので、業務も非常に多忙だということです。ここで改めてこの保安員の業務というのを少し調べながらお話をいたしますが、まず、種類としまして本部がありますが、ここは無線基地局である事務所で待機をして、様々な緊急事態等の総括的な役割を担っています。また、上り下りの駐車場のモニターも設置をしており、ここで監視を行っています。 平たん部の業務におきましては、広範囲にわたります。平たん部の巡視を行い、あるいは樹木や工作物、トイレの点検、そしてまた、観光客の道案内、落とし物、迷子の対応、撮影許可、イベントの確認、清掃業者への対応と、こういった非常に数多くの業務があります。また、今は外国人観光客、これが非常に増えている状況の中で、トラブルの対応、あるいはSNSによる動画配信などへの対応ということで、非常に業務量が増えているという状況です。
交番という種類におきましては、いわゆる交番所はドライブウェイの入り口、あるいは出口、麓の3か所、そして道案内、ドライブウェイでの通行者の管理、ハイカーの落とし物対応、負傷者の対応、ごみの清掃、行方不明者の対応、こういった数多くの業務があります。 山間部、若草山ということで、この業務の種類につきましては、これも文字どおりの山間道、柳生街道、遊歩道の巡視、道路の修理、あるいはのり面の土砂崩れの確認、安全確認、そういった復旧も含めての対応をされておられます。さらには、緊急車両の誘導も行っておられるということで、災害にも備えておられます。こういった業務の種類等々がありますし、点検訓練におきましては、これは全職員が対応されているということです。 この保安員の年齢構成、あるいは任用形態でが、定員14名のところ、正規職員の現員は再任用職員を含めて7名です。また、うち2人は2027年から再任用となる見込み、足らない分は会計年度任用職員を採用して、対応されておられます。平均年齢が58歳ということで、非常に高齢化率が高いわけであります。
こういった中で、山火事や災害が起こった際に県民の命を守ることができないということです。これは平たん部、山間部で緊急時対応できる職員を配置し、県民の命を守るということが大切だろうというふうに思っております。また、業務が高度化、複雑化しており、迅速な対応や判断が求められますが、会計年度任用職員の割合が多いために、業務に支障が生じている。また、保安業務は体力勝負なところがありますが、若い方の応募が少なく、高齢化が進んでおり、業務に支障が生じている。さらには、技術や経験を持った奈良公園採用の方が3名いますが、2名が定年延長で、退職間近ということで、技術継承するには早期の新規採用が必要という課題も生じています。こういった、今私が申し上げました現状の体制で、これらの管理ができるのかと非常に甚だ疑問に思うところでありますが、そういったことについて、奈良公園室長のお考えをお聞かせください。
【奈良公園室長】
委員お述べのとおり、奈良公園事務所の技能労務職員につきましては、平成14年に採用されて以来、23年間新規採用がないという状況で、高齢化が非常に進んでおり、40代が1人とその他全員50代以上になっております。将来にわたって奈良公園の広大な面積を維持していくことにつきましては、持続可能な管理体制が必要だと考えております。その辺が非常に重要だと考えておりますので、奈良公園事務所と連携しまして、人員の確保につきまして、関係課と協議してまいりたいと考えています。
【藤野】
本年の2月定例会の一般質問におきまして、技能労務職員の在り方について知事にお聞きをいたしました。奈良公園事務所の職員が担う業務が多岐にわたっている現状を踏まえると、直営の維持や正規職員での人員補充が必要である。また、技能労務職の安定した採用は、技術力の維持や地域社会の多様なニーズへの対応及び公共の責任を果たすためにも重要なことであるということを申し述べさせていただきました。
その質問に対して、山下知事は、各職場で必要とされるスキルを鑑み、民間委託や会計年度任用職員では代替できない業務であって、直営で行う必要がある業務については技能労務職員を雇用し続ける意義はあると思うと。各職場でどのようなスキルや人材が求められているのかに応じて、民間委託か会計年度任用職員、あるいは技能労務職員を雇用するのかを適切に判断するというふうに答えておられました。
今、公園室長から関係部局にそのことを申し述べているということをお聞きしましたので、改めて、さらに強力に申し述べていただきたい、求めていただきたいと思います。こういった技術力の維持、あるいは徹底した県民サービス、そして公共の責任を果たすためには、やはり一定の技能労務職員の確保が必要であると思っております。
改めて、安定した採用、計画的な採用について、人事当局に対して強く求めていただきたいということをお願いいたしますが、できれば、局長のその旨の決意なりをお聞きかせいただきたいと思います。
【奈良公園室長】 決意表明ということですけれども、やはり奈良公園の存在というのは奈良県だけではなく日本の財産だと思っていますし、これをしっかり管理するということについては、私どもも非常に重要視しております。また、近年外国人観光客の方が、やはり問題であるとか、いろいろと奈良公園の巡り方について、トラブルといいますか、なかなかご理解いただけない部分というのは多数あります。それをやはり分かりやすくお伝えしていただきたいという思いもありますし、また、きちんと管理するというのは県の責務でもありますので、それらをしっかりと肝に銘じながら、人員確保についてはしっかり関係課と協議してまいりたいと思っております。
【藤野】
ありがとうございます。奈良公園を守る、あるいはその奈良公園を守る先頭に立つ人材の育成、技術の継承、これは非常に大切だというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。
高齢者雇用について
【藤野】
県民の広報「県民だより」の9月号にキャリアチェンジのお話が載っており、こういった広報紙を通じて、さらに県民の皆さん方にキャリアチェンジの内容を深めていただきたいと思います。 現在65歳以上の方々が全国では3,619万人おられ、非常に高齢化、超高齢化社会になってきているということは皆さん方が感じておられることだと思います。この中で、私は以前から高齢者雇用、希望のある方々の高齢化雇用の充実ということを訴えておりました。
しかしながら、高齢者雇用は非常に難しい部分があり、メリット、デメリット、それぞれの観点があるかとお聞きをいたしております。企業からは豊富な経験と知識を生かせる、あるいは労働力不足の解消、また、ダイバーシティーの推進、さらに助成金や優遇制度、モチベーションの向上、こういったメリットがある中で、やはり健康面のリスクがある。さらには技術適応の遅れ、これはデジタルツール等の業務において言われることでありますが、さらには若手社員の成長機会の減少、柔軟性の欠如等々がデメリットとして指摘をされております。
このような中で、さらに働く環境の充実を図っていかなければならないのではないかと思っております。高齢者の方々の働く環境、非常に難しい部分があるかとは思うのですが、企業だけにその任務を任せるのではなく、労働局などと連携を図りながら、県もしっかりと対応する、労働局と連携しながら、企業に対しての何らかの指導、助言等々もする必要があるのではないかと思いますが、その辺の県の現状をお聞かせください。
【人材・雇用政策課長】
県のほうでは、まず、高齢者に限ったわけではないのですが、高齢者も含む多様な人材の活用というところを対象にし、こういった多様な人材がみずからの希望や適性に応じた柔軟な働き方ができるように、働き方改革を企業内で進めていただけるように、社会保険労務士等の専門家をアドバイザーとして企業のほうに派遣するような取組をしており、そのような取組を通じて、企業内で高齢者も含めて、働きやすい環境づくりが進むような支援をさせていただいております。
【藤野】
本年の4月から高年齢者雇用安定法の改正があり、その中では、継続雇用制度の対象者を希望者全員に拡大する必要があります。これまでの経過措置が終了し、解雇事由や退職事由に該当しない限り、全ての希望者を対象としなければなりません。また、企業は65歳以降も働きたい高齢者に対して、再就職援助措置を講じることが努力義務化されます。続いて、定年の引上げや定年制の廃止など、雇用確保措置が義務づけられていますが、定年の65歳の引上げは義務ではありません。そして、これらの改正は高齢者の雇用機会を確保し、働きやすい環境を整備することを目的としており、国も様々な支援策を打ち上げております。
様々な制度、あるいは補助的な様々な取組を国としては取り組んでおりますので、県もキャリアチェンジ等々含めて、さらに支援策、あるいは働きやすい環境整備、これに向けては労働局とさらに連携をしながら、企業に対して強く求めていただきたいと、このことをお願い申し上げます。
観光振興施策について
【藤野】
戦略的な観光振興施策のなかの、2026年NHK大河ドラマを活用した誘客促進事業についてお聞きをいたします。
これは本年度予算で5,000万円の予算が計上をされております。大阪・関西万博がこの10月で終わり、次の観光振興に向けての取組が急がれますが、これはまさしく来年の大河ドラマを活用した誘客促進事業、うってつけの事業ではないかなと思っておりますが、現在の取組状況についてお聞きをいたします。
【観光力創造課長】
NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」を活用した誘客の取組について、まず、主に県外からの誘客を見据えたプロモーション等の取組についてご回答させていただき、後ほど観光戦略課長のほうから、地域と連携した取組のほうをお答えします。
委員お述べのように、NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」、あと放映まで3か月余りとなっております。奈良県が大河ドラマの舞台となるのは実に55年ぶりで、観光局といたしましても、この大阪・関西万博の次なる誘客の手だてとして非常に有効に活用したいと思っています。
誘客を見据えたプロモーションは、現在、観光客向けのパンフレットやウェブサイトなどの情報発信ツールを制作中です。これらは放映が1月から始まりますが、その前の12月に公開を予定しており、内容といたしましては、県内全域に残る秀長公及びその家臣の方々の関連したスポットや逸話などをご紹介させていただき、大河ドラマや歴史ファン、そういったことをきっかけに来訪される方々に県内の周遊を促したいというような計画をしています。
また、県内の事業者を対象にした大河に関連したお土産物の開発支援セミナーというものを開催し、これまで計3回セミナーを開催、100以上の事業者の方に参加していただきました。今年11月には、このお土産物の開発のアイデアコンテストというものを予定しています。 さらに県外を含めた広域的な取組といたしまして、秀長公の生い立ちに沿った愛知県、滋賀県、そして奈良県の3県連携による広域周遊を促すような企画も今、検討しています。ドラマの放映開始以降は秀長公の認知度がより高まっていくことも踏まえ、今後SNSを活用した幅広い世代への情報発信をコンスタントに行うとともに、旅行会社等に対し、秀長公ゆかりの地をはじめ、県内の魅力的な観光地を周遊する旅行プランの造成も働きかけていきたいと考えています。
【観光戦略課長】
地域と協働した取組について回答させていただきます。この秀長公と特にゆかりの深い地域の関係者と連携、協力をして、観光振興による地域の活性化を図っています。本年5月に特に関係の深い大和郡山市、宇陀市、高取町、この3市町、そして、その地域の観光協会、商工会、そして、JR西日本、近鉄、奈良交通、こういった交通事業者さんと共に奈良県大河ドラマ「豊臣兄弟!」観光推進協議会を立ち上げました。この協議会におきまして、まず、この地域の機運醸成、そして、これらの地域への誘客、そして、県外、県内イベントでの出展によるPR、こういったところに取り組んでいます。
直近では、9月25日から9月28日の会期で、愛知県で日本最大規模の旅行イベント「ツーリズムEXPO」が開催されており、そこへ出展をしているところです。また、12月にはお城ファンの一大イベントという「お城EXPO」というものもあり、これは横浜ですが、数万人規模の来場者が訪れるというふうに聞いております。ここへの出展も予定をしています。また、地域の例えばお城まつり、こういったところも各地で開催されておりますので、例えば11月でありますと、高取さんのお城まつり、そういったところで出展をし、地域全体の盛り上げを図っていこうという取組をしております。
55年ぶりに大河ドラマの舞台となるこの機会を絶好の機会と我々は思っています。観光局が一丸となって、県内、県外でしっかりとPRを行い、官民連携をして、観光振興と地域活性化に取り組んでまいりたいと考えています。
【藤野】
まさしく万博が終了して、この奈良県にとっては最大のチャンスと、誘客のチャンスというふうに皆さん方も捉えていただいておられます。もう既に公募型のプロポーザルも実施をされたということもお聞きをいたしておりますし、先般、奈良新聞の特集記事の中で、山中局長が、「奈良県の観光は浅い、安い、狭い」と言われています。浅いとは滞在時間が短いこと、安いとは観光消費額が低いこと、狭いとは奈良公園周辺しか訪れないことを指します。まさしく私も局長がおっしゃっておられるとおりだなと思っております。
多くの方々に奈良、いわゆる奈良市だけではありませんよと、さらにこの郡山市から南、いわゆる中南和に向けて様々な観光スポット、あるいはグルメスポットがあり、そしてまた、先ほど宇陀松山城、あるいは高取城のお話もされておりましたが、その周辺にも非常に多くの観光スポットがあるということで、改めて感心をしたところです。私は多くの観光客が郡山市に訪れていただいて、さらに中南和に足を延ばしていただきたいなと思っております。そういった中で、改めてこの高取城、宇陀松山城、あるいはこの周辺に向けてのいわゆるネットワークを今後いかに図っていくのか、改めてお聞きをさせていただきたいと思います。
【観光戦略課長】
高取の高取城は日本三大山城ということで、全国的にも、特にお城ファンには知られています。そういった奈良に眠っている貴重な資源を今後この大河ドラマの機会で光を当てる、これまででいくと、やはり飛鳥・藤原、奈良時代や飛鳥時代、そういったところでどうしても光が当たりがちという部分がありましたので、この大河ドラマという絶好の機会を活用して、特にこれまでPRがなかなかできてこなかった部分、こういったところを地域の皆様方と共に観光地と整備をしながらPRをしていきたいと考えています。
【藤野】
奈良県三大名城ということで、郡山城、宇陀松山城、高取城、この3つをしっかりとつなぐ中で、やはり私は大和郡山市出身でありますので、特にこの大和郡山市を中心に、この観光をさらに広げていくという、そういうイメージを抱いております。一般質問でも申し上げましたように、平成8年に、秀長百万石まつりがあり、累計で約15万人以上が郡山市に訪れていただきましたので、さらに今度はその2倍、3倍の方々に訪れていただきたいと思います。また、そのようになってほしいと思います。
そういった方々がさらに多くの奈良県の観光スポットを巡っていただくということに大いに期待をいたしますので、皆さん方のご尽力、よろしくお願いを申し上げます。さらには、先ほどもご紹介ありましたように、飛鳥・藤原の宮都、この世界遺産登録に向けての動きがあり、また、登録となりますと、さらにこの盛り上がりが非常に高まってくる中で、これからの中南和の観光に大いに期待をするところです。



